Tumor Immunobiology
東北大学 医学研究科
がん病態学分野
Career Development
Education and Traninig
研究とは何か?
それは、自然の法則=真理(VERITAS)を明らかにすることです。
そのために、自然科学では、仮説を立て、普遍性を求めて実験や観察を行い、仮説の検証を行うのです。簡単にいうと、なぜ?どうして? という問いに対する答えを探すために予測を行い、実験や観察によって答えを導くことです。
この作業は一見して、たいへんに見えるかもしれません。
しかし、真理を求め、その根本原理を明らかにすることは、たとえそれが一片の事実であっても...忘れ得ぬ達成感と喜びをもたらすものです。
自然界の普遍的な真理を明らかにすることとは、自然(神)の創造した美しい旋律を見い出すことであり、科学者の創造力によって組み立てられた芸術作品といえるものなのです。そして素晴らしいことに、得られた作品は人類共通の財産として文明社会に受け継がれていきます。
では、研究にどのような態度で臨むべきでしょうか?
ひとつの解は、幕末の英雄であり明治維新の立役者・西郷隆盛の座右の銘「言志四録」のなかにあります。
彼はこの書物を常に持ち歩き、自らの行動指針としていたといいます。
(この書物を著した佐藤一斎は、幕府学問所・昌平黌の学者(儒官)です)
一灯を掲げて暗夜を行く。暗夜を憂うことなかれ。ただ一灯を頼め。
暗い夜道を歩くとき、ひとつの灯りを持って行くなら、なにも心配しなくていい。ただそのひとつの灯りをたよりにして進めばいい
釈迦(仏陀)が涅槃に際して弟子に伝えたことば、「自灯明 法灯明」にも通じることばです。
自らを観察し、灯りとし、求め、そして真理を得ることができるのです。
研究によって、自らをみつめ、自らを磨き、美しいものを造ることができるのです。
現代社会は、情報過多ですから、ともすれば他者の意見ばかり聞いてしまいます。研究の世界に身をおくことによって、自然を、そして自分というものを冷静にみつめる眼を養うことでができると考えています。
勇気を持って灯を掲げましょう。その灯火に賛同し、共感する仲間が必ず集まることでしょう。
一緒に真理を追求しましょう。
若い研究者や熱意ある学生のみなさんが、私たちのチームに参加してくれることを期待します。
Joining Our Lab
修士および博士課程の学生を募集しています。
医師である必要はまったくありません。
医学知識がなくても問題ありません。
大学院で学ぶこと...
それは、これまでの「読む人」としての自分から、「書く人」としての自分に変わることを意味します。
受け身から、能動への変化が必要です。このような変革は、チャンスであるばかりでなくチャレンジでもあります。自分を変えるとは、難しいことではありますが、必ずあなたを成長させるはずです。
まず、徹底的に読みましょう。そしてとことん考えましょう。
なぜ自分の研究が重要なのか?
何が重要な問題なのか?
いま自分が何をしているのか?
を問いながら、忍耐強く続けましょう。
熱意と自主性をもち、果敢にチャレンジする学生は大歓迎です。
必ずしも、これまでの経験は必要ありません。
私たちスタッフは、学生の自主性を重んじながらも、アドバイスや指導を行います。一方、チーム内の議論や発表はどんどんしてください。そして、良い人に囲まれるようにしましょう。熱意(パッション)は伝染するものです。
在籍中は、医学・生物学のプロフェッショナルとしての気概をもつことを期待します。
学会発表や論文作成も早い段階から進めましょう。科学者としてのキャリアを積むには、まず論文です。
一緒に真理を追求し、成長しましょう。
熱意ある学生のみなさんが、私たちのチームに参加してくれることを期待します。
研究者として一人前のプロフェッショナルになることを目指してください。
そして、科学者としてのポジションを得ることを目指しましょう。
一方、産業界(Industry)においては、間もなく大きな変革が訪れることでしょう。
これまでの高度成長は終焉し、既に低成長社会となっています。
生き残りを賭けて、これからは理系脳が求めれます。
自分の個性を武器にし、自分を徹底的に鍛えた「真の研究者」は狩猟民でなければなりません。
ハンターとして生きることを学びましょう。必ずや、アクティブなビジネスマインドに繋がるはずです。
社会にブレークスルーをもたらすのは、自ら灯をかざし、暗い道を進む気概のある若者となるでしょう。
これまで田中が指導した修士および博士課程学生(M.D.以外)の進路は以下のようになっています。
㈱武田薬品(研究職) ㈱大正製薬(研究職)㈱MBL(研究開発職)研究補助(@アステラス製薬)福島県立医科大学(検査部)
進学:慶應大学、東北大学、京都大学
M.D.(医師)の方へ:
初期研修を終えて専門性をさらに磨くか、大学院で学位を取るか迷われることと思います。
若い一時期を研究に没頭する環境ですごし、徹底的に考え学び実験により検証する経験は、あなたの将来に大きな財産となってくれることでしょう。優れた臨床医になるためには、科学者としての眼をもち、論理的に考える姿勢も大切です。もちろん、研究の世界にデビューし、世界に羽ばたくことも素晴らしい経験になるはずです。
もし臨床研修と大学院のダブルトラックを希望されるようでしたら、東北大学の社会人大学院制度を利用することが可能です。この制度を申請すれば、まったく通常の大学院と同じ期間・条件で学位取得ができます。隣の宮城県立がんセンター病院に勤務しながら学ぶことができます。これまで多くの医師がこの制度を利用して臨床と研究を両立しています。もちろん決して楽ではありませんが、気概があればぜひチャレンジしてください。